空虚感を埋める場所 都内で働くIさんの物語【後編】
空虚感を埋める場所 都内で働くIさんの物語【後編】
深い沼にはまっていくような感覚に陥っていたIさん。しかし、彼女は心の奥底で「変わりたい」と強く願っていました。その願いが、ある転機を引き寄せます。
差し伸べられた手
ある夜、いつものようにホストクラブから帰宅したIさんは、スマートフォンの検索履歴に「ホスト依存症 抜け出す方法」と打ち込んでいました。この日も、蓮さんからの「もっと会いたいな」というLINEに、心が揺れ動く自分に嫌気がさしていました。もう、自分ではどうすることもできない。そんな絶望の中で、Iさんは藁にもすがる思いで検索ボタンを押したのです。すると、あるNカウンセリングオフィスの広告が目に留まります。
「初回カウンセリング20%off」
その文字に背中を押され、Iさんは思い切って予約を入れました。
数日後、Iさんは自宅のパソコンの前で、カウンセラーの温かい笑顔と向き合っていました。
Y「Iさん、初めまして。Nカウンセリングオフィスのカウンセラー、Yです。今日はどのようなお話でもお聞かせくださいね」
Yさんの穏やかな声に、Iさんは少しだけ緊張が和らぎました。
I「あの…私、ホストクラブに通いすぎてしまって…。もう、どうにもならないんです…」
Iさんは、これまでの経緯を正直に話し始めました。空虚感、ホストクラブでの高揚感、そして借金。話しているうちに、Iさんの目からは大粒の涙がこぼれ落ちました。
Yさんは、Iさんの話をしばらくの間、じっと聞いていました。
Y「Iさん、まず、ご自身の状況を認識し、助けを求めようとしたこと、本当に素晴らしいことです。それが、抜け出すための第一歩なんですよ」
Yさんの言葉に、Iさんは少し救われた気持ちになりました。
I「でも、私、意思が弱くて…また行ってしまうんじゃないかって…」
Y「大丈夫ですよ、Iさん。意思の力だけで解決しようとすると、かえって苦しくなってしまうこともあります。ここでは、Iさんがホストクラブ以外の場所で、心の空虚感を埋められるような方法を一緒に見つけていきましょう」
Yさんは、Iさんにいくつかの質問をしました。
Y「Iさんは、ホストクラブでどんな時に一番楽しいと感じますか?」
Y「蓮さんが、どんな言葉をかけてくれた時に心が満たされると感じますか?」
Y「ホストクラブに通う前は、どんなことに喜びを感じていましたか?」
Iさんは、最初は戸惑いながらも、Yさんの質問に答えていきました。
I「蓮さんが『Iさんは頑張ってる』って言ってくれる時、すごく嬉しくて…」
I「昔は、友達と旅行に行ったり、新しい服を買ったりするのが楽しかったです」
Yさんの穏やかな視線と、自分の言葉が丁寧に受け止められている感覚の中で、Iさんの心の中で点と点が繋がり始めました。
Y「なるほど。Iさんは、誰かに認められたい、頑張りを褒められたいという気持ちが強かったのかもしれませんね。そして、本来は旅行やショッピングなど、ご自身が心から楽しめることで満たされていたはずの欲求を、今はホストクラブで満たそうとしているのかもしれません」
確かに、自分は他人からの承認を求めていたのかもしれない。そして、いつの間にか本当に好きだったことを見失っていたのかもしれない。
Y「では、Iさん。これから一緒に、ホストクラブ以外の場所で、Iさんが心の底から満たされるような時間や活動を見つけていきましょう。まずは、週に1回、カウンセリングの時間以外で、ご自身のために時間を取ることから始めてみませんか?例えば、昔好きだった旅行雑誌を読んでみるとか、友達と会う約束をするとか…」
カウンセリングで自分の気持ちを言葉にすることでIさんは、今まで漠然としていた「抜け出す」ということに、光が差し込んだような気がしました。
新たな輝き
それから、Iさんはオンラインカウンセリングを定期的に受けるようになりました。Yさんとのカウンセリングでは、Yさんの問いかけをきっかけに、Iさんは自身の心の奥底にある感情や本当の願望を掘り下げていきました。時には笑い、時には涙しながら、自分自身と向き合う時間が増えていきました。
ある日のカウンセリングでのこと。
Y「Iさん、最近何か新しく始めたことはありますか?」
I「はい!ずっと気になっていた陶芸教室に、友達と申し込んでみたんです。最初はうまくできなくて、ぐちゃぐちゃになっちゃって…(笑)。でも、土を触っていると、なんだか無心になれて、すごく集中できるんです」
Iさんは、楽しそうに話しました。
Y「それは素晴らしいですね!ぐちゃぐちゃになっても、それもまた味ですよね(笑)。集中できる時間があるって、とても大切ですよ」
I「そうなんです!あと、最近は友人と旅行の計画を立てるのが楽しくて。どこに行こうか、何を食べようか、って話していると、ホストクラブのことなんて忘れちゃうくらいワクワクするんです」
Iさんの表情は、以前にも増して明るくなっていました。
Y「Iさん、本当に良い変化ですね。ご自身の心が本当に喜ぶことを見つけられている証拠ですね。ホストクラブに行かなくても、Iさんはこんなにも生き生きと輝けるんですね」
Yさんの言葉に、Iさんは目頭が熱くなりました。ホストクラブに通っていた頃は、蓮さんに褒められることでしか自分を認められなかったけれど、今は自分で自分の喜びを見つけ、それを楽しめている。
カウンセリングを通して、Iさんは自己肯定感を高め、自分の価値は他者からの評価ではなく、自分自身の中にあることに気が付き始めました。そして、これはもう少し先の話ですが、Iさんは最終的にはホストクラブへの依存から完全に抜け出すことができました。
今では、週末は陶芸に没頭したり、友人と小旅行に出かけたりと、充実した毎日を送っています。ホストクラブに使っていたお金は、自分の経験や成長のために使うようになりました。
もちろん、寂しさや空虚感が全くなくなったわけではありません。人間だから、そういう感情が湧くのは当たり前だと、Iさんは理解しています。しかし、今はその感情と向き合い、健全な方法で心のバランスを取ることができるようになってきた気がするとIさんは語りました。
Iさんのように、日常生活に漠然とした空虚感を抱えていたり、何か特定の依存に悩んでいたりする方はいませんか?
Nカウンセリングオフィスは、あなたのペースで、あなたの心の声に耳を傾けることができる場所です。一歩踏み出す勇気が、きっと新たなあなたとの出会いにつながるはずです。
もし、Iさんのように、あなたの心の悩みを打ち明けてみたいと感じたら、ぜひ一度、オンラインカウンセリングにいらしてください。
次回、編集後記では、このIさんの物語を通して、現代を生きる私たちが抱えがちな心の闇とその向き合い方について、心理学的な視点からさらに深く掘り下げていきます。 Iさんの心のメカニズムと、そこから学ぶべきアドバイスをお伝えしますので楽しみにしていてください。
※本ショートストーリーはフィクションであり、登場する人物、団体、場所などはすべて架空のものです。実在の人物や団体、出来事とは一切関係ありません。
【監修:Nカウンセリングオフィス】
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