【ADHDの話 その1】そもそも注意欠陥・多動症とは?

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ADHDについて簡単にまとめたよ

はじめに

 みなさん、こんにちは。NカウンセリングオフィスのカウンセラーNです。本日は発達障害の中でも特に相談・問い合わせが多い注意欠陥・多動症(以下、ADHD)についてつぶやいていこうと思います。まずはADHDについて、いまさらかもしれませんが、簡単に説明していきましょう。


ADHDとは

 現在、精神科医療で使われている診断基準の一つであるDSM-5では次のように規定されています。わかりやすく大体のところをまとめると、次の(1)と(2)の項目が、それぞれ6個以上当てハマるとADHD的åな傾向がみられると言えます。ただし、当てはまるから必ずしもADHDと言えるほど単純ではなく、経験のある医師の診察を受けた上で確定診断がなされることに注意してください。


(1)不注意:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである。注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意の表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期および成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。


(a)学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする(例:細部を見過ごしたり、見逃してしまう、作業が不正確である)。

(b)課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である(例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)。

(c)直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える(例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)。

(d)しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない(例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)。

(e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である(例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりがない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)。

(f)精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、青年期後期および成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う。

(g)課題や活動に必要なもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくしてしまう。

(h)しばしば外的な刺激(青年期後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう。

(i)しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年期後期および成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい。



(2)多動性および衝動性:以下の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6カ月持続したことがあり、その程度は発達の水準に不相応で、社会的および学業的/職業的活動に直接、悪影響を及ぼすほどである。 注:それらの症状は、単なる反抗的行動、挑戦、敵意などの表れではなく、課題や指示を理解できないことでもない。青年期後期および成人(17歳以上)では、少なくとも5つ以上の症状が必要である。


(a)しばしば手足をそわそわと動かしたりトントン叩いたりする。またはいすの上でもじもじする。

(b)席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる(例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)。

(c)不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする(注:青年または成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)。

(d)静かに遊んだり余暇活動につくことがしばしばできない。

(e)しばしば“じっとしていない”、またはまるで“エンジンで動かされるように”行動する(例:レストランや会議に長時間とどまることができないかまたは不快に感じる;他の人達には、落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)。

(f)しばしばしゃべりすぎる。

(g)しばしば質問が終わる前にだし抜いて答え始めてしまう(例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことができない)。

(h)しばしば自分の順番を待つことが困難である(例:列に並んでいるとき)。

(i)しばしば他人を妨害し、邪魔する(例:会話、ゲーム、または活動に干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)。


 ちなみに上記(1)不注意または(2)多動性―衝動性の症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していて、さらに症状のうちいくつかが2つ以上の状況(例:家庭、学校、職場;友人や親戚といるとき;その他の活動中)において存在することや、これらの症状が、社会的、学業的または職業的機能を損なわせているまたはその質を低下させているという明確な証拠があること、さらにその症状は、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安症、解離症、パーソナリティ障害、物質中毒または離脱)ではうまく説明されないものであることがポイントになってきます。このような感じで診断に至るまでには前述したように、結構複雑な条件があって、最終的には専門医からの診察によって診断されます(そもそも診断をする権利は日本では医師にのみあって、カウンセラーに診断する権利はありません)。


終わりに

 このような感じで、ADHDではその人の年齢(発達水準)に対して似つかわしくない、もしくは同年齢の人が通常できる行動に困難を抱えることが多いです。例えば、注意を持続させることが困難、順序立てて物事に取り組むことが難しい、落ち着きがない、順番を守れない等の特徴がいつも見受けられ、そのことによって日常生活に困難が起きている等です。発達障害は生まれつきのものなので、診断の一つの目安としては12歳以前からこれらの行動特性があり、学校、家庭、職場などの複数の場面で困難がみられる場合に診断されます。しかしながら、12歳以前に診断される場合は行動特性が著しく目立つ場合が多く、行動特性が目立たない場合は診断されない、もしくは見過ごされてしまうことが多いです。ちょっと長くなってきたので、続きはまた次回に書きたいと思います。



参考文献 

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)



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