第6回 『愛され沼へようこそ!』無意識にやってる「人が離れる行動」を科学で解明&改善プロジェクト
【第6回・最終回】目指すのは「愛される人」じゃない。「愛する人」だったという話
ついに最終回です。ここまで、たくさんのテクニックを学んできました。でも、一番大切なことを最後にお伝えします。
この旅のゴールは、チヤホヤされる「愛される人」になることではありませんでした(エッ!?)。
本当のゴールは、自分の弱さも認め、相手を尊重し、心からの思いやりを行動で示せる「愛する人」になることだったのです。
考えてみてください。あなたが本当に一緒にいたいと思うのは、完璧な人ですか?それとも、弱さを見せてくれたり、一生懸命にあなたを理解しようとしてくれたりする人ですか?
ケンカしてもいいんです。大事なのは、その後に「ごめんね」と仲直りできること。 完璧じゃなくていいんです。自分のダメな部分を笑い飛ばせる勇気が、人を惹きつけます。
このシリーズで学んだことは、他人をコントロールするための技術ではありません。自分自身を愛し、その結果として、周りの人にも温かい光を届けられるようになるための知恵です。
「愛される」は結果論。まずは、あなたが「愛する」ことから始めてみませんか?
でも、「愛する」って、怖くないですか?
ここまで読んで、「それができれば苦労しないよ!」「人を信じて傷つくのはもう嫌だ」と思った方もいるかもしれませんね。
その気持ち、非常によく分かります。
人を愛すること、心を開くことには、大きな恐怖や難しさが伴います。 「本当の自分を見せたら、拒絶されるかもしれない」 「また裏切られて、深く傷つくかもしれない」 「尽くした挙句、利用されるだけかもしれない」
こうした恐怖は、決してあなたがおかしいから感じるのではありません。むしろ、過去のあなたが自分を守るために必死で身につけた、大切な心の防衛システムなのです。
このシリーズの第2回でお話しした「不安定な愛着スタイル」のように、子供の頃の経験から「他者は信頼できない」「自分は愛される価値がない」という心のOSが作られてしまったのかもしれません。あるいは、過去の人間関係で深く傷ついた経験が、「もう二度とあんな思いはしたくない」と心に頑丈な壁を作らせているのかもしれません。
その壁は、今まであなたを危険から守ってくれた、忠実な番犬のようなものです。
その「怖さ」と、どう付き合っていくか
では、その忠実な番犬(=恐怖心)と、どうすれば仲良くなれるのでしょうか。
無理に追い払う必要はありません。まずは、「そっか、怖いよな。今まで守ってくれてありがとうね」と、その存在を認めて、優しく声をかけてあげること(=自己受容)から始まります。
このシリーズで紹介した様々なツールは、その番犬を安心させながら、少しずつ扉を開けていくための道具です。自分の思考のクセに気づき(第5回)、少しだけ勇気を出して今までと違うコミュニケーションを試してみる。その小さな成功体験の積み重ねが、「あれ?世界は思ったより怖くないかも」という新しい学びとなり、心のOSを少しずつアップデートしていくのです。
一人で抱えきれない時は
しかし、この「心のOSのアップデート」は、時に一人では非常に困難な作業です。長年かけて作り上げた心の壁は、自分一人で壊そうとすると、かえって自分を傷つけてしまうこともあります。
そんな時こそ、専門家であるカウンセラーを頼るという選択肢を思い出してください。
個別カウンセリングは、以下のような大きな意義を持ちます。
安全な避難場所になる: 誰にも話せなかった心の傷や恐怖を、評価やジャッジをされることなく、安心して話せる場所が手に入ります。
心の地図が手に入る: なぜ自分がこれほどまでに怖れを感じるのか、その根本原因を専門家と一緒に探求できます。自分では見えなかった心の絡まりを、カウンセラーに話すことで整理することができます。
あなただけの「更新プログラム」を作れる: ブログや本は万人に向けたものですが、カウンセリングは完全にあなただけのオーダーメイドです。あなたの歴史と特性に合った、最も効果的な心のケアや行動プランを一緒に作っていきます。
このシリーズを読んで、少し心が動いたけれど、一人で進むのは怖いと感じたなら、それは決して恥ずかしいことではありません。ぜひ一度、その心の荷物を降ろしに来てください。
Nカウンセリングオフィスでは、あなたが自分自身の番犬と仲良くなり、安心して心の扉を開けていくためのお手伝いをしています。
あなたの新しい一歩を、心からお待ちしています。
「本記事は、公開されている情報や報告書を参考にしつつも、筆者の個人的な見解や解釈を交えて構成しています。査読を受けた学術論文ではありませんので、学術的なエビデンスとしての利用はお控えいただけますようお願いいたします。」
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