【第1回】 月7万円がタダでもらえる!?話題の「ベーシックインカム」って一体なに?

 はじめに



「もし、毎月なーんにもしなくても、国から7万円が振り込まれるとしたら…?」

 こんにちは!今日から始まる「なるほど!ベーシックインカム(BI)講座」の案内人、Nカウンセリングオフィスの並木悠介(公認心理師・臨床心理士)です。

 最近、ニュースやネットで「ベーシックインカム」って言葉、よく見かけませんか?ひろゆきさんや成田悠輔さんがYouTubeなんかで話しているのを聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんよね。「ベーシックインカム」って、なんだか難しそう…って思うかもしれませんが、実はとってもシンプルで、一言でいうと、「国に住むすべての人に、無条件で、定期的にお金を配りますよ」という制度のことなんです。

 「えっ、マジ!?働いてなくても?お金持ちでも?」そう、全員です。まるで夢のような話ですよね。でも、この夢みたいな話が、今(今さら?)、世界中で真剣に議論されているんです。



 なんで今さら「ベーシックインカム」が話題なの?

 このアイデア自体は、イギリスの哲学者であるトマス・モアが貧困根絶策として500年も前に提唱した、非常に古い思想です。それがなぜ今、再注目されているんでしょうか?その背景には、私たちが直面している、こんな現代社会ならではの《お悩み》があるんです。

  1. AIに仕事、奪われちゃう?問題:  AIやロボットがどんどん賢くなって、今まで人間がやっていた仕事もできるようになりました。「10年後、自分の仕事はあるのかな…」なんて不安、感じたことありませんか?BIは、そんな時代の「もしも」の時のための命綱(セーフティネット)になるんじゃないかと期待されています。

  2. 働き方が不安定すぎ!問題: フリーランスやアルバイトなど、自由な働き方が増えた一方で、収入が不安定な人も増えました(カウンセラーとかがまさにそうかも・・・)。しかし、もしもBIがあれば、最低限の暮らしが保障されるので、多くの人がもっと安心して新しい挑戦ができるかもしれません。

  3. 格差、広がりすぎじゃない?問題: 「お金持ちはもっとお金持ちに、そうじゃない人はずっと大変…」そんな社会のギスギスした感じ、ありますよね?BIは、みんなに同じスタートラインを用意することで、この格差を少しでも和らげる効果があると言われています。

  4. コロナ禍で気づいた「今の制度じゃヤバい」問題: 2020年の初頭頃のコロナ禍で、突然仕事がなくなってしまった人がたくさんいました。でも、国の支援制度は手続きが複雑で、本当に困っている人にすぐ届かない…ということに多くの人が気づきました。しかし、BIなら、シンプルに、素早く、みんなを助けられるんじゃないか?と、その価値が見直されたんです。


ベーシックインカムの「5つのルール」

 「全員にお金を配る」と言っても、似たような制度と区別するために、BIにはちゃんとしたルールがあります。

  • ① 普遍性(みんなに):お金持ちとか貧乏とか関係なく、全員が対象です。

  • ② 無条件性(なにもしなくてOK):「仕事を探しなさい」みたいな条件は一切なし。

  • ③ 個人単位(アナタ個人に):世帯主とかじゃなく、一人ひとりの口座に直接振り込まれます。

  • ④ 定期的(毎月ずっと):一回きりの給付金じゃなく、毎月ちゃんともらえます。

  • ⑤ 現金(使い道は自由!):使い道が決められたクーポンじゃなく、現金で支給。何に使うかはあなたの自由!

 どうでしょう?BIが、ただの夢物語じゃなく、現代社会のいろんな問題を解決するかもしれない「すごいアイデア」に見えてきませんか?

 次回は、この夢の制度を実際にやってみた国々の「社会実験」の結果をのぞき見しちゃいます!「本当に働かなくならないの?」「社会はどう変わったの?」気になる結果をお楽しみに!


🧠 もっと知りたい人のための心理学・精神医学コラム

テーマ:『マズローの欲求5段階説』とベーシックインカム

心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求を5段階のピラミッドで説明しました。

  1. 生理的欲求(食欲、睡眠欲など)

  2. 安全の欲求(心身の健康、経済的な安定)

  3. 所属と愛の欲求(社会的欲求)(仲間や家族、社会に属したい)

  4. 承認欲求(他者から認められたい)

  5. 自己実現の欲求(自分の能力を発揮し、夢を叶えたい)

  6. 図:Licensed by Google

 マズローによれば、人は下の階層の欲求が満たされて初めて、その上の階層の欲求に関心が向かうとされています。

 ベーシックインカムは、このピラミッドの土台である「生理的欲求(Psysiological needs)」「安全の欲求(Safety and security needs)」を無条件に保障するものです。つまり、「今日の食事はどうしよう」「来月の家賃が払えるか不安」といった生存に関わるストレスから人々を解放する可能性があります。

 精神医学的にも、経済的な困窮は、うつ病や不安障害の大きなリスク因子であることが知られています。BIによって経済的な安定(セーフティネット)が確保されると、精神的な余裕が生まれ、人々はより高次の「社会的欲求」や「自己実現の欲求」に向かうエネルギーを得られるかもしれません。

 つまり、BIは単にお金を配るだけでなく、人々が「(なんとか)生きる」ステージから「よりよく生きる」ステージへとステップアップするための、心理的な土台を作る可能性があるのではないでしょうか?


「本記事は、公開されている情報や報告書を参考にしつつも、筆者の個人的な見解や解釈を交えて構成しています。査読を受けた学術論文ではありませんので、学術的なエビデンスとしての利用はお控えいただけますようお願いいたします。」

【監修:Nカウンセリングオフィス


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