非定型発達（グレーゾーン）の困難と克服の物語—Gさんの成長【前編】

Gさんの現状と困難

　Gさん（25歳・女性）は社会人3年目のオフィスワーカー。毎朝、目覚ましのアラームを何度も止めながらようやく起きる夜更かしのせいで、朝はいつもバタバタです。急いで服を選ぶものの、なんとなくしっくりこない。結局、無難なオフィスカジュアルを選び、焦って家を飛び出すと、エレベーターに乗った瞬間にシワだらけのシャツに気づいてため息をつく日々。

　広告代理店で働くGさんは、仕事のスピードにも苦戦していました。デスクには未処理の書類が山積み。上司が「午後の会議で使うデータ、しっかり準備しておいてね」と声をかけると、Gさんは一瞬、頭が真っ白になります。どのデータなのか、どこまで準備するのか。上司の曖昧な指示に、どう動けばいいのかわからなくなるのです。昼休み、食堂で同僚と食事をするも雑談が苦手で、話題についていけません。「場の空気を読まなきゃ…」と思うほど、余計に疲れてしまいます。

 

　仕事が終わりスマホをチェックすると、友人から「今日の約束、もうすぐだけど大丈夫？」とメッセージが来ていました。完全に忘れていたGさんは、慌てて「ごめん！」と返信し、カフェへ向かいます。「またやってしまった…」と落ち込む気持ちが湧き、友人と合流しても罪悪感が拭えず、会話に集中できません。

　夜、自宅でベッドに倒れ込むと、「どうして自分はこんなにダメなんだろう…」という考えがぐるぐる回ります。努力しているのにうまくいかない。気づけば、涙がこぼれていました。

新しい日常、そして予期せぬ出会い

　そんなある日、Gさんの部署に、新しい取引先の担当者がやってきました。名はKさん。年齢はGさんとそう変わらないくらいでしょうか。爽やかな笑顔が印象的で、会議での的確な発言に、Gさんは思わず見とれてしまいます。

 

「Gさん、この資料、Kさんに渡してくれる？」

 

　上司に頼まれ、Gさんは緊張しながらKさんのデスクへ向かいました。「あの…これ、上司から頼まれた資料です」なんとか声を絞り出すと、Kさんは優しく微笑んで「ありがとう、Gさん。助かるよ」と言ってくれました。その瞬間、Gさんの胸には、ふわっと温かい感情が広がるのを感じました。

　しかし、そのときです。Kさんのデスクには、綺麗に整頓された書類と、カラフルな付箋が貼られたメモ帳が目に飛び込んできました。自分とは正反対の、完璧に整理された彼のデスクを見て、Gさんの心にまた「どうせ私なんて…」という影が差します。

 

　仕事でも、プライベートでも、何かがうまくいかない。このモヤモヤした気持ちをどうにかしたい。そんなGさんが、SNSで偶然見つけたのは「Nカウンセリングオフィス」の広告でした。半信半疑ながら申し込んでみることに。画面越しに現れたのは、柔らかい笑顔Y先生でした。

Y「はじめまして、Gさん。今日はどんなことでも大丈夫です。少しずつ話してみましょう。」

 

　Gさんは何を話せばいいかわからず、沈黙が続きます。しかしN先生は、「最初は話しづらいですよね。でも、どんな些細なことでも大丈夫ですよ」と優しく促してくれました。

 

G「最近、仕事もプライベートも、すべてがうまくいかない気がして…。頑張ってるつもりなのに、何もかも空回りしてしまうんです。」

 

　言葉にすると、涙が出そうになります。しかし、N先生は静かに頷きながら耳を傾けてくれました。

　そして数日後、Gさんの元に、Kさんから一枚のメッセージが届きます。

「Gさん、この前の資料の件で、少し相談したいことがあるんだけど、今週どこかで時間ないかな？」

　ドキリと高鳴る胸。でも、また何か失敗したらどうしよう…。Gさんは、 このチャンスを掴むことができるのでしょうか？後編につづく

※本ショートストーリーはフィクションであり、登場する人物、団体、場所などはすべて架空のものです。実在の人物や団体、出来事とは一切関係ありません。

 

【監修：Nカウンセリングオフィス】