非定型発達(グレーゾーン)の困難と克服の物語—Gさんの成長【後編】
非定型発達(グレーゾーン)の困難と克服の物語—Gさんの成長【後編】
前編のあらすじ
社会人3年目のGさんは、仕事でもプライベートでもうまくいかない日々を送っていました。そんなGさんの部署に、爽やかで仕事もできるKさんが現れます。完璧なKさんのデスクを見て、Gさんは改めて自分の不器用さを痛感。そんな中、オンラインカウンセリングのN先生との出会いが、Gさんの心に変化の兆しをもたらします。そして、Kさんからの「相談したいことがある」というメッセージ。Gさんの心は期待と不安で揺れ動きます。果たしてGさんは、Kさんとの関係を進展させ、自身の課題も克服できるのでしょうか?
失敗エピソード—「重要なメモがどこ行った?」
Kさんからのメッセージにドキドキしながらも、Gさんはその日の仕事をこなしていました。上司から「午後の会議で使うデータ、しっかり準備しておいてね」と言われ、念のため大事なポイントをメモに書きました。午後の会議まで時間がない中、デスクに戻ると……メモが見当たらないのです。
「え、ない…!どこ行ったの!?」
デスクの引き出し、カバンの中、ポケット、果てはゴミ箱まで確認しますが、メモは消えたまま。「これがないと会議で何を言えばいいかわからない…!」と冷や汗が止まりません。まさか、この大事な会議の直前にこんなミスをするなんて。しかも、もしKさんがこの会議に参加していたら…?そんな最悪の想像が頭をよぎり、余計に焦ります。慌てて会議に出席するも、内容は支離滅裂。上司は「…まぁ、次はちゃんと整理しようね」と苦笑い。会議終了後、しょんぼりしながらデスクに戻ると、見つけたのです。PCの画面のすぐ横に貼ってありました…。
「えぇぇぇぇ…!!!」
まさかの視界のど真ん中に存在していたメモ。こんな目の前にあったのに気が付かなかったなんて・・・そして、Kさんに会う前にまたこんなミスをしてしまった自分に、落ち込みは一層深まります。
カウンセリングでの克服—「見える化」
オンラインカウンセリングでこのエピソードを相談すると、N先生は言いました。
「もしかしたらGさんは、そういったことが人よりも苦手な脳なのかもしれませんね。でも、簡単な工夫でずいぶん楽になりますよ。」
「え、本当に?どうすればいいですか?」
「ズバリ、整理と視認性をアップさせることです。例えば…」
N先生のアドバイスは具体的で簡単なものでした。
★メモは『探す』のではなく、『固定する』
★メモ専用のボードを作り、PC画面横に設置する。
★視認性を上げるためにホワイトボードを活用する。
★デジタルツールで視覚的に整理
★メモアプリを活用し、重要度別に色分けする。
★会議前にリマインダーを設定し、確認を習慣化する。
「習慣化するまで少し時間がかかるかもしれませんが、。こうやって『探す手間をなくす』ことで、ミスを防ぎやすくなる人が多いですよ。いきなり全部は難しいですから、まずは、やりやすそうなものから始めてみるのがいいかもしれませんね」
Gさん:「確かに…探す時間って無駄ですよね。次は試してみます」
N先生の言葉に少し希望が持てましたGさんは、もしかしたら、Kさんとの「相談」の機会も、これを機に自信を持って臨めるようになるかもしれないと思いました。
実際にやってみた—克服の瞬間、そして…
Kさんとの約束の日が近づく中で、少しずつGさんは職場でN先生のアドバイスを実践していました。Gさんが最初にしたのは下の3つでした。
★ホワイトボードを設置し、メモを固定
★会議用のメモはデジタル化し、リマインダーを設定
★スマホアプリでメモを色分け整理
そして迎えた、Kさんとの相談の日。カフェで待ち合わせると、Kさんは優しい笑顔で迎えてくれました。資料についていくつか質問され、Gさんはすぐにスマホのメモを開き、整理された情報を確認。焦ることなく、すらすらと説明できました!
Kさんは「なるほど!すごく分かりやすいよ。ありがとう、Gさん」と、とても嬉しそうに頷いてくれました。Gさんは内心ガッツポーズ。「やった…!」と嬉しさが込み上げます。相談が終わった後、Kさんがふいに言いました。
「Gさんって、すごく話しやすいね。また何かあったら相談させてもらうよ」
その言葉に、Gさんの顔はカッと熱くなりました。初めて、自分の努力が実を結んだような気がしたのです。
成長の実感
カウンセリングを通して、「探す」のではなく「見える化する」方法を学び、Gさんは少しずつ整理がうまくなっていきました。何よりも、「ミスしても次にどうすればいいか?」と前向きに考えられるようになったことが、一番の成長でした。 Kさんとの会話がスムーズに進んだことで、自信が芽生え、彼との距離も少しだけ縮まったような気がしています。もしかしたら、あなたのすぐそばにも、新たな始まりが隠れているかもしれませんね。
Gさんのささやかな成功と、Kさんとの関係に生まれた小さな変化。彼女の成長は、決して特別なことではありません。もし、Gさんの物語に「自分と似ている」と感じたり、「私ならどうするだろう?」と考えたりしたなら、ぜひこの後の「編集後記」も読んでみてください。Gさんが経験した心理的な変化や、日々の困難を乗り越えるための具体的なヒントを、心理学的な視点から深掘りしています。あなたの毎日にも、きっと役立つ気づきがあるはずです。
※本ショートストーリーはフィクションであり、登場する人物、団体、場所などはすべて架空のものです。実在の人物や団体、出来事とは一切関係ありません。
【監修:Nカウンセリングオフィス】
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