Hさんの心の旅〜キラキラ大学生の裏側〜【前編】

Hさんの心の旅〜キラキラ大学生の裏側〜:Nカウンセリングオフィスとの出会い【前編】


キラキラの裏に隠された心の葛藤

 Hさんは、都内の私立大学に通う2年生。くるくると変わる豊かな表情と、いつも楽しそうに笑う声が印象的な、ごく普通の女子大生です。ファッション雑誌を読むのが好きで、カフェ巡りや友達との旅行計画に目を輝かせます。SNSの投稿もマメで、キラキラした大学生活を送っているように見えました。

 

けれど、Hさんの心の中は、いつも賑やかな思考でいっぱいでした。

「今、この話をしたら、相手は不快に思わないかな?」

「つまらないって思われたらどうしよう?」

「傷つけたりしないかな?言葉を選ばないと…」

「あ、今の相槌、ちょっとわざとらしかったかも…」

 

 友達との何気ない会話中も、ゼミのグループディスカッションでも、気になる男子と話す時も、Hさんの頭の中では常に「思考の会議」が開催されていました。発言する前に何通りものシミュレーションを行い、相手の表情や声のトーンから「正解」を探ろうとする。その結果、話すタイミングを逃したり、ぎこちない笑顔になってしまったりすることも少なくありませんでした。

 特に疲れるのは、初対面の人や、あまり親しくない人との交流でした。飲み会で隣に座った人には「何か話さなきゃ」というプレッシャーを感じ、無難な話題を探すのに必死になります。結局、当たり障りのない話で終わってしまい、「私って、つまらない人間なのかな」と自己嫌悪に陥ることも度々ありました。

 

伝えられない「本当の私」

 ある日のこと。HさんはSNSで知り合ったサークル仲間とのカフェ巡りに出かけました。話題は、最近みんながハマっているカフェについて。SNSで有名なカフェの話で盛り上がる中、Hさんは先日行ったばかりの素敵なカフェの話をしようとしました。頭の中では「ここのパンケーキが本当に美味しくて、見た目も可愛くて…」と完璧な説明ができています。しかし、いざ口を開こうとすると、「この話、みんなもう知ってるかな?」「私だけはしゃぎすぎかな?」「もし期待外れだったらどうしよう…」そんな思考が一瞬で駆け巡り、結局Hさんは「うんうん、わかるー!」と笑顔で相槌を打つだけになってしまいました。

 

 その夜、SNSで今日のカフェ巡りの写真を投稿しながら、Hさんはひどく落ち込んでいました。みんなが楽しそうに会話している中、自分だけが殻に閉じこもっているような感覚。せっかく素敵な場所に行ったのに、その感動を素直に伝えられない自分が情けなくてたまりませんでした。「なんで私は、もっと気軽に話せないんだろう…」と、何度も投稿を消しては書き直し、結局は当たり障りのないコメントで済ませてしまいました。

 

迷いながらも踏み出した一歩

 そんな時、HさんはSNSで偶然、Nカウンセリングオフィスの広告を目にしました。「人間関係の悩みを抱えるあなたへ」というキャッチコピーが、まるで自分に語りかけられているように感じられました。最初は「カウンセリングなんて大袈裟かな」「何を話せばいいんだろう」と躊躇したけれど、このままでは心が擦り切れてしまうという焦りから、思い切って申し込んでみたのです。

 

 しかし、予約のメールを送った後、Hさんの胸に再び不安が押し寄せます。「本当に私なんかがカウンセリングに行っていいのかな?」「もっと深刻な悩みを持った人が行くところなのでは?」

 

 初回のカウンセリングを数日後に控えた夜、Hさんは眠れずにいました。

 もし、カウンセラーに「そんなことで悩むなんておかしいよ」なんて言われたらどうしよう。

 もし、何を話せばいいか分からず、沈黙してしまったら?

 そんな想像ばかりが頭の中を駆け巡り、予約をキャンセルしようかとすら考えました。

 

 果たして、Hさんはカウンセリングにたどり着くことができるのでしょうか?そして、初めてのカウンセリングで彼女を待っていたものとは?後編へ続く


※本ショートストーリーはフィクションであり、登場する人物、団体、場所などはすべて架空のものです。実在の人物や団体、出来事とは一切関係ありません。

 【監修:Nカウンセリングオフィス

 

 

 


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