編集後記:あなたの「咲く場所」を見つけるために

 


「咲く場所を求めて:Oさんの小さな一歩」をお読みいただき、ありがとうございます。医療事務として真面目に働く咲さんが、漠然とした不安を抱えながらも、一歩踏み出し、オンラインカウンセリングを通じて自分自身と向き合い、成長していく姿に、心を揺さぶられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

咲さんの心の変化に見る心理学

 咲さんの物語は、私たちの誰もが経験しうる心の動きを鮮やかに描き出しています。

 まず、咲さんが感じていた「このままでいいのだろうか?」という漠然とした不安。これは現状維持バイアス成長への欲求の狭間で揺れ動く心理状態と言えるでしょう。人は変化を避け、慣れ親しんだ状態を維持しようとする傾向がありますが、同時に「もっと良くなりたい」「新しい自分になりたい」という成長への欲求も持ち合わせています。咲さんの場合、後輩たちの活躍が、その成長への欲求を刺激し、「自分も変わらなければ」という気持ちを強くしたと考えられます。

 次に、自己主張が苦手だった咲さんが、カウンセラーYさんの促しによって、少しずつ自身の自己肯定感を高めていく過程です。Yさんは、咲さんの「自己主張が苦手」という側面だけでなく、おばあさんの診察券を探してあげたエピソードを通して、咲さんの持つ「優しさ」や「相手に寄り添う才能」に焦点を当てました。これにより、咲さん自身が、自分の短所だと思っていた部分が、別の視点から見ると長所になり得ることに気づき、自己認識をポジティブに変化させることができました。これはリフレーミングと呼ばれる心理的技法に近いものです。

 そして、ミーティングでの発言をためらう咲さんに、Yさんが「間違っていても、大丈夫ですよ」と直接アドバイスするのではなく、クラリネットの経験を問うことで、咲さん自身が「失敗から学ぶ」という気づきを得たこと。これにより、咲さんは完璧主義の克服と、心理的安全性の重要性を自ら理解していきました。カウンセリングという「安心して話せる場所」で、咲さんの中に「たとえ間違っても受け入れられる」という感覚が育まれ、それが実際の行動(ミーティングでの発言)へと繋がっていったのです。

 そして、クラリネットの例え話は、発達の漸進性(ぜんしんせい)という概念を援用しています。発達の漸進性というと難しく聞こえますが、ざっくり言えば、どんなことも最初から完璧にできるわけではなく、練習を重ねることで少しずつ上達していくという心理学の原則のことです(偉そうに書いていますが、めっちゃ普通の話ですね💦)。この例え話は咲さんの人生経験に基づいたものであったため、咲さんの「今はまだ練習段階」という認識を促し、挑戦へのハードルを下げたと言えるでしょう。


あなたの次の一歩のために

 咲さんの物語は、私たちに多くのヒントを与えてくれます。もしあなたが今、咲さんと同じように「このままでいいのだろうか」と悩んでいたり、「自分は変われない」と感じていたりするなら、ぜひ以下のことを試してみてください。

  • 小さな「できた」に目を向ける: 咲さんがおばあさんを助けたように、私たちは日々、無意識のうちに誰かの役に立ったり、小さな困難を乗り越えたりしています。完璧な「できた」でなくても構いません。自分の良いところ、頑張ったところを意識的に見つけ、自分を認めてあげましょう。
  • 「もし間違っていたら」の呪縛から解放される: 間違いや失敗は、学びの宝庫です。完璧でなければと考えるあまり、行動できないのはもったいないことです。まずは「試してみる」「話してみる」という小さな一歩を踏み出してみましょう。その経験が、あなたを成長させます。
  • 安心して話せる場所を見つける: 一人で抱え込まず、信頼できる友人や家族、あるいは咲さんのようにカウンセリングを利用するなど、自分の気持ちを安心して話せる場所を見つけることは非常に大切です。人に話すことで、問題が整理されたり、新たな視点が得られたりすることがあります。
  • プロのサポートを検討する: もし悩みが深く、なかなか抜け出せないと感じる場合は、カウンセリングのような専門的なサポートを検討するのも一つの方法です。咲さんがYさんとの対話を通じて自ら気づきを得て変化したように、専門家との対話が、あなたの可能性を引き出すきっかけになるかもしれません。

 咲さんの物語は、誰もが自分の中に秘めた力を持ち、そして、その力を信じて一歩踏み出すことで、新しい「咲く場所」を見つけられることを教えてくれます。あなたの人生という舞台で、あなたらしい音色を奏で、あなただけの花を咲かせることを心から応援しています。


咲さんの物語を最初から読みたい方はコチラ


【監修:Nカウンセリングオフィス

 

 

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