【ADHDの話 その2】経過、支援、治療など

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今回も発達障害について徒然とつぶやきます。

はじめに

 こんにちは。カウンセラーNです。さて、前回お話しした通りADHDとは発達水準から見たときに、注意を持続させることや順序立てて行動すること、衝動を抑えることが困難であったり、落ち着いて座っていることや順番を待つことのような行動の制御抑制が困難といった特徴が持続的にあり、日常生活で色々な困り事が起こってしまう時に医師によってつけられる診断名です。ちなみに、発達水準とは、大まかに言うと、この年齢になるとこれくらいのことができるみたいな基準のことです。現在、発達障害は生まれつきのものだと考えられているため、12歳以前から前述したような行動の特徴が見られ、学校、家庭、職場などの二つ以上の場面で困難がみられる場合に診断されます。


ADHDの経過

 診断は学童期の子どもの場合は3〜7%であり、男子の方が女子よりも3〜5倍多いと言われています。ADHD的な行動特性が目立たない場合は学童期に見過ごされてしまうことも多く、大人の発達障害とカウンセリングADHDの話 その1でお話したように、成人になってから診断される場合も結構あります。少し興味深いことに、学童期は男子の方が女子よりも3〜5倍程度多いと言われているものの、成人になると男女比は約1:1になります。確かに実際に(大人を対象とした)カウンセリングの場においてお会いする方を見ると男女比にそこまで差がある印象はありません。個人的な印象として男性はすでにADHDの診断を受けている方が多く、女性は診断や通院歴はないけれど、背景にある発達障害傾向が生き辛さに影響しているように思われる相談が男性よりも多い印象があります。


 余談ですが、ADHD傾向を持っている方は、自閉スペクトラム症(ASD)の傾向も併せて持っている場合が多いと言われています。男性と比べると女性の方がコミュニケーション時に空気を読むことを求められやすい(と言われている)ため、ASDの傾向を持っている女性は空気を読まないといけない同性とのコミュニケーションが極端に苦手なる場合が多いです。ADHDやASDがあると日常生活の様々な場面で困り事に直面しやすく、また大人になるにつれて人からの評価や言動が気になりやすくなるため、つい周りの人と自分を比べ過ぎてしまい自尊心が傷つきやすくなる傾向があります。その結果、慢性的な不安感や抑うつ感、不眠症状などに悩まされている方が多くいます。


ADHDの支援

学童期

 学童期のADHDの支援は、子どもをとりまく支援関係者(保護者、学校教職員、医師、カウンセラー)が情報を共有して、その子どもの状況・状態に応じた支援が大切です。例えば、何かを教える・指示する時には具体的にわかりやすく伝える、感情的な叱り方をしないようにする(指示は具体的に、こう言う場合はこんな風にしてごらんと子どもにわかるように伝える)、気が散りやすい子どもには気が散りにくい環境を作る(目につくところに漫画やゲーム機を置かない、TVをつけっぱなしにしない等、余計な刺激を減らす)、学習の課題を段階を踏んで小分けにすることや、程よく休憩をはさむ(休憩からスムーズに戻れる工夫をすることが重要)、そして、本人が頑張ったことはしっかりと褒めてあげること(物を買うよりも、親や先生から褒めてもらうことが効果的です)等、その子どもにあった支援計画を立てることや子どもに接する時間が一番長い保護者の方をいかにして支えるかも大切なポイントになってきます。場合によっては専門家から親へのペアレントトレーニングが役にたつことも多いです。


成人期の支援

 大人の場合には、一人で日常生活が送れるように支援することがポイントになります。食事、掃除洗濯のような身辺管理、金銭管理、家事、子育て等、家庭生活の支援にはじまり、仕事を見つけられるように就労移行支援事業者や発達障害者支援センターを利用できるようにすることや、人間関係やプライベートな時間の過ごし方等について、身近な支援者に相談できるスキルをつけていくことが重要になります。症状の程度によっては、障がい者雇用で必要な配慮を受けながら仕事を始めることが役にたつこともあります。また、精神的な不調が強い場合は、精神疾患の治療から進めていくことが必要になるかもしれません。


薬物療法の可能性

 現在、ADHDには薬物療法が有効であることがわかっています。薬物療法は相性がありますが、場合によっては、ADHDに由来する症状とその2次障害がかなり緩和されます。また、ADHDに限らず、ASDの場合であっても不安・抑うつ症状がある場合は、薬物療法で症状の緩和・寛解をめざしながら、前述したような生活の工夫や就労の安定を目指していくことが役に立ちます。ポイントは「完全な状況を目指すのではなく、数%で良いので、今よりも幾分か良い状態を作り出すこと」です。歯車の一部がほんの少し変わることで、全体的な流れは思いのほか大きく変わっていくものです。


終わりに

 今回も少し長くなってしまいました。発達障害は生まれつきの特性なので生涯を通してその特性自体は大きくは変わりません。ADHDの話 その1でお話した通り、発達障害の特性は質的な面において、いわゆる定型発達の人が持つ特性と変わらず、あくまでも特性の濃淡の問題ですが、その濃淡は単純な努力だけでは解決しないことが多いです。しかしながら、自分にあった仕事に就いたり、自分にあった生活環境が整うと症状や状態が大きく変わる可能性があります。また、相性のよい治療やカウンセリングを受けることが状態改善の役に立ちます。今後、発達障害の方が悩まされやすい感情の起伏「色々な整理整頓」などのテーマもアップしていきたいと思っています。また、こんなテーマについて話して欲しいというリクエストがあれば、気軽にコメントしてください😉





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